活動・取り組み

Activities / initiatives

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2018
© puk-loveratory
2017
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G a l l e r y 﨑津(つどい処まつだ: 旧松田邸)基本設計

目的

空き家問題に対する提案

活動内容

キリスト教関連文化遺産として世界遺産登録を目指すこの地域の空き家問題は深刻で、様々な案が検討された。結果、熊本地震による耐震性・耐久性等の不安から、天草市は改築を決定し、市民ギャラリーとしての整備が考えられた。そして、「景観の継承」「記憶の継承」「歴史・文化の継承」「コミュニティの形成」の4つのコンセプトによる基本設計を行った。

設計主旨

海と山に囲まれた密集型漁村集落の天草﨑津集落。そのランドマーク的な﨑津教会の正面に位置する道路沿いに「G a l l e r y 﨑津( 旧松田邸)」は建設された。旧松田邸は、所有権が市に移譲され現在では空き家となっていた。キリスト教関連文化遺産として世界遺産登録を目指すこの地域の空き家問題は深刻で、空き家を利用した市民ギャラリーとしての整備が考えられていた。当初は改修案が検討されたが、熊本地震による耐震性・耐久性等の不安から、天草市は改築を決定した。世界遺産を目指す地域に限らず今日の空間創造を考えた場合、人々の記憶や歴史を繋ぐ空間づくりが必要であろう。このような観点から、この計画に当たってのコンセプトは、「景観の継承」「記憶の継承」「歴史・文化の継承」「コミュニティの形成」とした。計画に当たり計画地の面する道路沿いの建物外観の色彩を調査し、現代的で無表情な街並みへと変貌しつつあることが確認できたため、今後この地域の街並み景観を形成していくための規範となるような外観の色彩計画を行った。また既存建物と同様の中2階( 厨子2 階)の虫籠窓の町屋型式を継承し、「景観の継承」と「記憶の継承」を行った。この中2階を吹抜けとしたギャラリーは、﨑津教会のゴシック様式の垂直性を暗示し、この計画地で唯一﨑津教会天主堂上の十字架が見える場所に椅子が置かれるなど、潜伏キリシタンの歴史を持つこの地域の「記憶の継承」と「歴史・文化の継承」を演出している。また、この地域の特徴的景観形成要因として「トウヤ※ 1」と「カケ※ 2」があるが、ギャラリーの列柱は、この「トウヤ」の界隈性や狭隘性を表現したものである。前面道路沿いには、ギャラリーへの客の誘導を兼ねた休憩スペースを設け、世界遺産登録により増加が期待される観光客の「コミュニティの形成」の場を創造している。密集型漁村集落のため、周辺の街並みではこのような軒下空間のオープンスペースは見られないため、周辺の景観に溶け込むよう、軒先を周辺建物に合わすと同時に、休憩スペースの目隠しの役割を担った柱を@455mmで連続して建て壁面と見做して、周辺街並みの壁面に揃えている